最近、いろんなところで「デザインシンキング」「デザイン思考」という単語を聞くようになりました。そんな中で役員をしている幼稚園の役員会で幼児教育にも取り入れられているらしいと聞いて、思わず背中がピン!となりました。
せっかくデザイナーを名乗っているのなら、「デザインシンキングの幼児教育」とやらを知りたいし実践してみたい!というわけでまずは「デザインシンキング(デザイン思考)」について、本やネットで調べたり考えたことをまとめてみました。
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デザインシンキング(デザイン思考)とは何?
そもそもデザインシンキング(デザイン思考、以下デザインシンキングで進めます)ってなんだ?ということです。
Wikipediaには下記のような記載がありました。
デザイン思考(でざいんしこう、英: Design thinking)とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である。
中を見ると、…うん、難しい…ちょっとかみ砕いてみようかと思います。
言葉の通り、「デザインするときどう考えるか」ということが基本になるんですが、まずデザインと聞いて何を想像するでしょう?
ポスターやチラシのデザイン、もしくは服飾系のファッションデザインデザイン、ビルや美術館などの建築物のデザイン…こういったところでしょうか?
これらからイメージされる「デザイン」は装飾的な意味合いが強いですよね。そしておそらく目にする「デザイン」は形になって出来上がった「答え」であることが多いはずです。
デザインをするときにはその最終的なその「答え」に到達するまでには様々な過程があります。
- 何を伝えたいのか。
- 誰に伝えたいのか。
- 伝えた結果、どうなってほしいのか。
大体この3点を主軸にアイデアを整理し、試作して検証して、その結果を整理して試作…を繰り返しながら「答え」に仕上げていくのです。
デザインシンキングの考え方の特徴はその視点と視点の考え方にあると思われます。つまり、視点が伝えたい「誰か=ユーザー」であり、その視点の考え方が「抽象的=楽しそう、面白そう、興味がわく…」という明確な答えがない場合が多いということです。
個人個人で受け取るイメージが違うために明確な答えがないので、「答え」を出すまでにたくさんの試行錯誤を繰り返すことを求められることもあります。
つまりデザインシンキングとはユーザー視点で伝えたいことを見つめながら、ユーザーを自分の求める結論へ導いていく=ユーザー視点を取り入れながら設計していくための過程を考える、ということになります。
デザインシンキングの具体的な考え方の例
言葉にすればするほど分かりづらいので例を挙げてみます。ここではわたしのもう一つのお仕事サイト「HanaMame」を作った時の考え方を挙げてみようと思います。
「HanaMame」は自分で仕事をしてみたい!自分のスキルを活かして活動を行いたい!というママさんを応援しています。なので起業したばかり、もしくはこれから活動を始めたいと考えているママさん方を対象に価格設定や商品設定をしています。
- ターゲット:ママ起業家
- オリジナルデザインのチラシや名刺の制作をする
まずは主軸を決めて、このタイミングで視点をお客様側に切り替えます。ママ起業家なら(ターゲット層が今回の場合はわたし自身と重なるので切り替えがしやすいですが)何を求めているのだろうか、ということです。
- オリジナリティのあるチラシや名刺を作りたい
- 価格は抑えたい
- 家のプリンターからじゃなく、印刷会社に頼んで、きちんとした印刷物に仕上げたい
こんな感じでしょうか。
作り手の視点とお客様の視点を比べると「オリジナリティ」のものは合致してますね。
次に「価格を抑えたい」、「きちんとした印刷物に仕上げたい」を自分の視点に取り込んでいきます。
- ターゲット:ママ起業家
- オリジナルデザインのチラシや名刺の制作をする
- 価格は抑える
- 印刷会社に印刷を依頼できる仕組みを作る
ここでまた、視点をお客様側に切り替えます。
- 価格はわかりやすくないと不安
- 低価格だけどどこまでしてくれるの?
- 印刷会社はどこを使うの?
- 印刷の価格は?
上記の流れがあって、「HanaMame」では最初にセルフの定食屋さんのようにいろんな項目(おかず)を作ってパズルのように組んで一つのプラン(定食)にするようなことも考えたのですが、わかりづらい・結局高くなるということが分かって、コミコミプランを用意し、印刷会社は紹介頻度の多い会社を紹介しています。
デザイン料としては激安の部類(デザイナーの方には申し訳ないですが)ですが、自分が起業をしたばかりの時はどう行動するのか、を軸に考えた設計になっています。
ザクっとした例ですが、デザインシンキングの思考の流れがわかっていただけたでしょうか?ユーザー視点を取り入れながら物事を設計していく考え方がデザインシンキングです
いわゆる見栄え、装飾的なデザイン部分は軸の設計後に、設計図に沿って最適な形で飾っていくというイメージですね。(もちろんこの部分も同じようにユーザー視点で考えながら装飾していくので「デザインシンキング」になりますが)
デザインシンキングはデザイナーだけの考え方じゃない
本来、デザインをするうえで、ユーザー視点というのは当然のようにあるべき視点で、「このデザインだとユーザーにはどう映るのか・伝わるのか」といったことは常に考えながら作っていきます。
でも今の時代、その考え方はデザイナーだけの考え方ではなく、ビジネスにおいても必要だ、という風に言われています。
どのような業界においても類似のものというのがあり、その中でオリジナリティを出すためには自分の理想だけではなくユーザー視点を取り入れたサービスを展開することが求められているということだということです。
ネット検索すればだれでも手軽に類似のサービスを検索して比較できます。その中でユーザーは自分の好みのものをチョイスできる時代になったということです。
なので、「このサービスを利用するユーザーはどういったものを求めているのか」を常に考えていかなければ、自分の出したサービスを選んでもらえないのです。
デザインシンキングを生活に取り入れる
ビジネス(サービス)にかかわる話を続けてきましたが、このデザインシンキング、これは生活にも取り入れられます。
一番最初に話題にした「幼児教育」にもつながるのですが、要は考え方の話なので、日常生活にも取り入れることができます。
例えば「部屋を片付ける」という目標に対して、ユーザー視点=家族を取り入れるわけですね。
○○を部屋のどこかに片づけることについて
わたしは〇〇をここに片づけたい
↓
夫は○○を取り出しにくいかも
↓
○○はあそこに片づける
↓
子どもは届かない
↓
○○は△△に置けばみんな使いやすい
この「誰かの視点に立って考える」ということは、日常生活中ではいわゆる「気遣い」「優しさ」という感じで言われている部分ですが、こんな風に思考を整理することで感情的にならずに人に自分の考えを伝えたり実現できたりできますね。
この片付けの事例だと自分が使いやすいように部屋を片付けすると家族が不便になるという視点が持てたことで、最終的には家族みんなが過ごしやすい片付けにつながっていきます。
すべての物事がデザインシンキングでうまくいくとは限りませんが(時には妥協も必要ですしね)、誰かの視点に立つ、という訓練は小さい社会=家族で実践していくと、自然と大きい社会(幼稚園→小学校…そして社会)で実践できるかと思います。
近々、幼児教育におけるデザインシンキングの取り組みを調べて、考察してみようと思います。